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我が家は色々ありすぎる 3
「ん……っ」
改めてその顔の良さに見惚れている間に、気持ちのいいキスで思考が蕩けていく。
キスの上手い推しってすごいな。特技に書くべきじゃないだろうか。
そんなことをぼーっと考えながらされるがままのキスに蕩けていたら、いつの間にかベッドの上にいた。乗っかってしまっていたはずのあかりさんを、なぜか見上げる体勢に変わっている。
あれ、なんでこんな格好なんだ? 今なにが起きていた?
「泉、聞いて」
「あかりさん……?」
濡れた唇を拭いながら、僕を見下ろしてくるあかりさんは真剣なまなざしで、それなのにどこか不安げで。どうしたのだろうと顔に手を伸ばすと、その手を取ってちゅっと小さなキスを落とされた。
「最初から手出してるから信用ないと思うけど」
もう一度キスをして苦笑い。
「怖がらせたくないけど、泉のことを気持ち良くしたい。どうしたらいい?」
「……あかりさんのこと、最初から怖いと思ったことないです」
それは紛れもない本音。
アルファだけど、最初に会った時から怖いと思ったことは一度もない。突然されたキスだって気持ち良くて、なぜだかあかりさんに対しては普通のアルファに覚えるような恐怖心が覗いたことはないんだ。
だからどうしたらいいかはわからなくても、怖がらないことはできる。
「俺は俺が怖いよ」
「んん、んっ」
そう答えた僕の耳に、あかりさんは低く囁いてから唇を奪った。それからたっぷりと舌を絡ませた後、首筋へと唇が移る。
あかりさんにもらった首輪の隙間に舌で触れられ、ぞくぞくと未知の感覚に体を震わせる。
番になるためには、ヒート中にオメガのうなじをアルファが噛むんだという。でも今はヒート中じゃないし、そこを噛んだとしても番として成立するわけじゃない。
ただ、そういう場所だし、首輪で隠れているせいで人一倍敏感になっている場所だ。そんな触れ方をされたらいやでも反応してしまう。
「あっ、そこだめ……っ」
あかりさんにもらった首輪で守られているはずのところをあかりさんの舌がなぞる。
ただくすぐったいのとは違う感覚に、声が上擦るのが止められない。
「ひあっ、あ、あかりさんっ、んっ」
自分の声が恥ずかしい。それなのにあかりさんはなにも言ってくれなくて、泣きたい気持ちでもがいた。こんな切ない気持ち、今までなったことがない。
この前も、試着室で触られた時にびりびり電気が走ったみたいになった。
でもこの前と違うのは、あかりさんの手。触れ方。
あの時よりももっと熱くて、荒くて、でも気遣うようで。
「あっ」
体の線をなぞるように下りて行ったあかりさんの手がそこに触れた瞬間、体がぴくんと跳ねた。意図を感じるその触り方に、慌てて起き上がろうとするも腰が抜けたように動けない。
いや違う。あかりさんが足の間にいるから身動きが取れないんだ。
「だ、だめ、そんなとこ触ったら汚い……っ」
「大丈夫、怖くないから、力抜いてて」
「んんッ」
今まで自分しか触れてこなかったところを躊躇いなく触られて、その手の熱さに声が洩れる。
「やっ、だめ、あかりさんっ、触っちゃやだ」
「気持ち良くないならやめるから、もうちょっと、な」
大きな手で包まれて擦り上げられて、恥ずかしさと気持ち良さで頭が爆発しそうだ。
なんでこんなことになってるんだ。
ただでさえ僕の部屋にあかりさんがいるということ自体がおかしなことなのに。そのあかりさんになにをどうされているのか、恥ずかしすぎてまともに考えられない。
「ほんとに、ほんとに、それ……っ、あ、まって」
「良くない?」
「きもちいいっ、いいから、やっ、恥ずかしいのやだぁ」
「ん、ほら泉。気持ちいいの、一人じゃないから。一緒に」
「ふっ、え!? あっ、それ、あかりさん、の……っ?」
もがく手を取られて導かれた先には、限界の近い僕同様、ひどく硬さを帯びたあかりさんのモノがあった。痛そうな張りつめ方に驚いて恐る恐る手を動かすと、あかりさんは小さく息を吐いて二人のものを一緒に手で包んだ。
「嫌だったら言って」
そしてさっきよりも強く指先に力を込めながら擦り上げ始めた。お互いのものが濡れ、それが擦り合わされることでぐちゅぐちゅと卑猥な音が上がり始める。
なんだこれなんだこれなんだこれ。
未知すぎる快感に、頭の中でチカチカ火花が散っている。
あかりさんの手に促されているせいで自分の手とは思えない刺激を与えられて、どうしようもなく腰が浮く。
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