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まどわされて、うかされて 1
「あっ……」
もつれるようにキスをしながら隣の寝室に移った時には、お互いほぼ服を脱ぎ捨てていた。
恥ずかしい気持ちもあったけど、それよりもあかりさんが邪魔そうにしていたから、ほとんど勢いで脱いだ。
熱かったし、酔っているんだから仕方ないと思う。
それでもやっぱり下着に手をかけられると恥ずかしくて、キスの合間に漏れた声をあかりさんが聞き取って少しだけ笑った。
「ここ、もうぐちゃぐちゃだから脱がないと汚しちゃうよ泉」
「……!」
差し入れた指の音で示しながら、あかりさんはそんなことを囁いてくる。
わざと低めた声は色っぽくて、意地悪で、言い返せずにあかりさんにしがみついたらするりと下着を抜き取られた。
「ん、ぅ」
お互いの体の間で手が動かされるたびぬめった音が響く。それと同時にあかりさんがいくつもいくつも熱っぽいキスを落としてきて、それだけでこの前よりも早く限界が見えた。
僕、あかりさんから与えられる快感に恐ろしく弱い。
「あ、かりさん……っ、もう、イっちゃ……」
「ん」
あかりさんにしがみついたまま呆気ないほど簡単に吐精しても、熱はまったく逃げていかず。それどころか体が余計敏感になった気がして、濡れた指を中に差し込まれた瞬間にびくりと体が震えた。
「あっ、ん、あ」
ぐちぐちと中を掻き回す指と肌にあかりさんの唇が触れるたび体が跳ねて恥ずかしい声が漏れてしまう。でもそれもすぐに唇を塞がれ、快感を増やす音の一つに代わった。
あかりさんから与えられるすべてが気持ちいい。
なのに、物足りない気持ちがじわじわ湧いてきて自然と腰が揺れる。体の間で硬く擦れるあかりさんのそれが欲しくて、軽く胸を引っかいた。
それだけで気づいてくれたあかりさんが、指を引き抜き代わりに僕の体が欲するものをあてがってくれる。
「怖くないから。一緒に気持ち良くなるだけ。おいで、泉」
「ん、んんんっ」
引き寄せられて、ぎゅうっと抱きつく腕に力を込める。
すると距離が縮まってあかりさんの熱が僕の体を分け入って入ってきた。
「あっ、あ、や、これ怖……んんっ!」
「締め付けないで、もっと奥まで入らせて。ほら」
未知の感覚に引ける腰を掴まれ、無理やりではないけれど決して逃げられない強引さで侵入される。
ずっずっと体を揺さぶって奥へ奥へと進まれる苦しさと気持ち良さに頭がおかしくなりそうだ。
「あ、ぐっ」
「本当はこのまま少し動かないでいてやりたいんだけど、ごめんな。ちょっと無理」
奥を突かれて息を飲む僕を抱き締め、余裕のない声でそう謝ってきたあかりさんは、次の瞬間ずっと腰を引いて。
「あーっ、あっ、ああッ!」
なんとも言えない抜け出る感覚に腰が引けたのも束の間、一気に奥まで突き上げられて抑えきれずに声が上がる。
「ひゃ、あ! あ、そこ、いっ……あっ」
「いいか?」
「ん、きもちいい、すごい、あ、そこも」
「うん、わかる」
実際本当にしたら、恥ずかしすぎて死ぬと思っていた。だけど恥ずかしさじゃ死にやしない。ただ気持ち良すぎて死んじゃうかもとは思った。
だって頭がまともに働かない。
腰を打ち付けられるたび気持ち良すぎて頭の中をばちばち火花が散っている。
あかりさんが奥を突き上げるたび、甘い痺れが波のように押し寄せて僕を溺れさせる。そのせいで出しているつもりのないとろとろにとろけた声が止まらなくなってしまうんだ。
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