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それはきっと

神無月さんの全てが好き。  ふわふわとした赤髪も大きな背中も 全てを包みこんでくれる胸板も優しく響く声も……。 彼の好きなところなんか数え出したらキリがない。 「何だ、相馬。今日は偉く素直だな」 そう言って俺を優しく抱き締める。 あぁ、好きだ、この匂い、ぬくもり。 「ふふっ……。神無月さん、少し煙草臭いです」 照れ隠しで言うと じゃあ相馬のために喫煙するかな なんて神無月さん。 それはちょっと嫌。 この煙草の匂いも大好きだから。  「これからも俺のそばにいてくれますよね?」 「相馬、そりゃあプロポーズか?」 そう言って彼はまるで少年みたいに無邪気に笑う。 「あぁ……好きだ」 たまらなくなって声に出てしまった。 一瞬神無月さんの目が見開いたと思ったら また優しくほほえんで 今度は頬に軽く口付けた。 「愛してるよ」 耳元でそう囁かれる。 どうしよう、嬉しくて嬉しくてたまらない。 「神無月さん……」 「ん?」 「俺、今とても幸せ」 それを合図に 彼の抱き締める力はさらに強くなる。  離さないで、何があっても。 「そりゃ奇遇だ、俺もだ」 その時の神無月さんの顔は今でも忘れられない。  優しくて、暖かくて。 そうだな………まるで…… (天使のようだなんて。くさいかな?)

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