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おいで
「相馬さん、お手」
…………は?
俺は陸の言葉の意味が分からなくてもう一回ツッコむと
だから、お手と返された。
いや、意味分かんねぇし……!
「俺は犬か何かか?」
「いや、相馬さんは相馬さん。なんとなく言ってみただけ」
何となくかよ!とまた心の中でツッコミを入れて
バイト募集のチラシを見た。
「相馬さんは働かなくていいっていってるでしょ?主夫として毎日オレの帰りを待ってればそれでいいじゃん」
「なんつーか、それじゃあ男として、ちょっと………」
しかも、陸の収入ヤのつく職業だし
まぁ、1日に数百万稼いでくるから、それはそれでいいんだけど。
「それに相馬さんはオレのペット件妻みたいな物なんだから、家にいなよ」
「ちょっと待て!妻は100歩譲っていいものの、ペットってなんだ?ペットって」
だってたまに頭を撫でて誉めてやると尻尾生えそうなぐらい喜ぶんだもん。
だからペットみたい。
あ、相馬犬だ、相馬犬。
とまた頭を撫で始めた陸。
「お前、俺のこと、そう思ってたんだな」
プイッと目線を外すとおいで。と言われた。
また犬みたいな扱いしやがって。
「絶対行かねぇからな」
「おいで」
「いか、行かねぇ」
「おいで、抱きしめてあげるから」
「………」
仕方なく抱きつく。
よしよし、と頭を撫でられる。
くそー、不服だ。
でも、やっぱ陸のこの匂いと体温が好きだから
別にいいかな、と思ってしまったのは俺の弱みだ、きっと。
「犬みたいだね、可愛いよ」
「や、やめろ!」
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