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次の日、僕は熱を出した。 呼び鈴で意識を覚まし、起きようとするものの…。 体中の痛みと倦怠感、そして肥大した不安に精神的にも追い詰められ…。 起きる事も叶わず、 来訪者の存在に無視を決め込んでしまった。 三度ほど鳴らされた呼び鈴も呆気なく止んでしまい。 またひどく静かな室内が、罪悪感を駆り立てて… 僕を、戒めた。 「綾ちゃ~ん?お友達がお迎えよ~!」 トントンと部屋のドアがノックされ。 仕事から朝方帰宅し、眠っていた筈の母が…どこか上機嫌で入って来る。 ベッドに入ったまま母を見上げるも、視界は虚ろ。 頬は上気していて、吐き出す呼吸も荒い。 すぐ様異変に気付いた母は血相を変え、 慌て僕に駆け寄った。 「どうしたの~!?…や~んっ綾ちゃんたら、お熱があるじゃないの~!!」 途端にオロオロする母に。 「…きょう、休む、から…」 何とかそれだけを伝えれば、母はハッとして我に返り。 「そっそうよねっ…じゃあ、お友達に伝えておくわね…!」 その来訪者に向けて、僕はあからさま動揺していたのだけれど。熱が功を奏し、なんとか母を誤魔化せたようで…。 母はいそいそと、部屋を出ていった。 下から母の甲高い声に混じって、 アイツの低く心地良い声が聞こえたのに。 それにさえ逃げるようにして。 僕はあっさりと意識を手放した。 それから、熱は3日続き。 その間もアイツは、何事も無かったように… 毎朝、迎えに来てくれた。 勿論、顔を合わせる事はなくて。 メッセージの文面も僕を労り、 心配する旨が綴られていたけれど…。 一度だけ、心配ないと送ったきり。 後は全て無視をしてしまった。 の事が気になる癖に、自ら聞くことに憚れて。 加えて何も言わないアイツに、 いつもと何も変わらないアイツに、 理不尽な憤りを…抱いてしまうから。 会いたくない、だなんて────… ただ無邪気に笑って。 あの娘は友達なんだと、普段通りに話してくれればいいのに。 (肝心な事は僕に隠して、無かった事にするつもりか…) こんな気まずい状況で、風邪を引いた時はラッキーだったと思っていたけど…。 今となっては、 この間が仇となって僕を苦しめる。 今はどんな顔をして接すればいいのか解らないから… 風邪も完治した朝。 まだ登校には早過ぎる時間に。 僕は避けるようにして、独り学校へと向かった。

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