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(…どうし、て……)
こんな事になったんだろう?
どうしてふたりは、
なんの取り柄もない僕なんかを…
好きになってくれたんだろう?
不器用で無口で無愛想、加えて地味で陰湿。
素直になれない、欠陥だらけな僕の何を────…
ほら、今だって。
僕が全てを曖昧にして、
彼の好意と優しさに甘んじて逃げてしまったから。
彼を…上原を、傷付けてしまったじゃないか…。
(アイツだって…)
告白されたあの日に。
はっきりと拒絶してさえいれば、
そうすれば、こんなに互いにぎくしゃくして…
苦しむ事だって無かったのに…。
知りすぎたから、
馴れ合う事に魅せられ、満たされてしまったから。
つい…淋しいとか、思ってしまうんだ。
(本当に?)
そうなんだろうか?
(全部無かった事にすれば、正しいのか?)
違う…
本当は、嬉しかった。
芝崎の告白も、上原の好意も。
(何も無いのに、簡単に男が男を受け入れられるのか?)
それも有り得ない。
欲しかった、だから…流されたフリをした。
好きだと言われ、傍にいてくれる事。
求められ、求める事が…僕にも許されたから。
じゃあ、なんで?
ああ、
(…そうか、そういうことなんだな…。)
男とか、女とか、
そんな事は、端から関係なくて。
僕はアイツに
アイツの存在に
最初から…惹きつけられていたんだ。
「…しば、ざ、き…」
「…水島…?」
「ごめん、上原っ…ごめん、芝崎っ…!」
僕があまりに鈍感で。
肝心な事にいつまで経っても、気が付けないから。
ふたりとも、苦しめてしまった。
「ごめ……ッ……!」
謝ったところで、
所詮は自己満足でしかないけれど…。
せめて吐き出してしまわないと、
罪の意識に押し潰されてしまいそうになったから…
何度も何度も謝罪を繰り返しながら、
涙混じりに吐き出した。
「…しばざきっ、芝崎…っ…」
「水島…」
取り乱した僕に、困惑を浮かべる上原。
面食らった彼は無意識にも、
僕を戒めていたその腕を緩めてしまい、
刹那、
「ぐッ…――!!」
ガツンと骨がぶつかる音がして。
気付けば、
上原の身体が、風を切り吹っ飛んでいった。
支えを失い、その場に崩れ落ちる僕。
現れた影が頭上を被い…
見上げれば、
「しば、ざき…?」
僕の前に立つ彼は本物。
初めて見た…コイツがこんなにも、
怒っているのを。
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