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「ッ…────!!」
涙が止まらない。
上原の前で堅く誓った筈のものが、
ガラガラと音を立て…いとも容易く崩れていく。
僕はなんて弱い人間なんだろう。
こんな事で簡単に、覆してしまおうと言うのか?
押し隠そうとするほど
苦しくて、苦しくて、
誰もいないこの場所で、嗚咽を洩らし独り泣く。
はっきりとしたカタチにすればするほどに。
意志を持って気持ちが溢れていくそれは…
ただひたすらに、芝崎の事だけ。
ぐるぐると体を駆け巡ぐり、
気付けば否定出来ない大きさにまで、
膨らんでしまった。
恋なんて、と軽んじていた。
一目惚れだなんて、そんなものは勘違いでしかないのにと馬鹿にしていたくらいだし…。
けどアイツは突如として目の前に現れて。
その時から、
一瞬にして、僕の心を奪い…
虜にした。
気付いた時にはもう、
きっとずっと、好きだったんだ。
最初から僕に、抗う気など無かった。
素直になれないから、流されたフリをして、
お前に甘えてしまったんだから…。
「う…ッく……」
眼鏡を外し、両手で顔を覆う。
町田さんはああ言ってくれたけど…
もう、手遅れなんじゃないだろうか?
芝崎はもう、ここにはいないし…
僕は上原にアイツの元へは行かないと、宣言してしまったんだから。
今更、思いを募らせた所で。
どうしていいかなんて僕には解らないのに…
(こんな時…)
狡い僕は、アイツが傍にいてくれたらなんて思ってしまう。
いつものように、
お願いして、僕を困らせてくれらたいいのになんて。
そうすれば、今度こそ。
僕は────…
「…先輩……」
許されるならば。
もう一度だけ、
甘えさせてはくれないだろうか?
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