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side. Tamotsu
「よしっ…夏休み最後だ、ウダウダしてても仕方ねぇし。こうなったらパァッと遊ぼうぜ?」
急に変なスイッチが入った上原君。
結局、物でのプレゼントは要らないからと。
代わりにトコトン遊び倒す、と言うことになって。
連れられて来たのは………ゲームセンター?
「おっ…保、アレ見てみ?」
おいでおいでされて、何気キュンとしながらトコトコ近付き招かれたのは…
UFOキャッチャーの前で。
「アレ、お前にそっくりじゃね?」
「え?…ええ~…」
意地悪な笑みで指差す先には、女の子に人気の何トカってシリーズの動物のぬいぐるみ、で。
細めで黒目が妙に大きくて、何だかモジモジ困り顔の…それは。お世辞にも可愛いとは言い難い風貌をしていた。
「う~、酷いよ~…」
じとっと睨めば、上原君は大爆笑。
くそ~僕をからかって楽しんでるなぁ~…て、んん?
「じゃあ…上原君はアレだね。」
僕が見つけたのは、スッゴく目つきが悪くて如何にも凶悪そうな、同じシリーズの虎っぽいぬいぐるみで。
ファンシーなアイテムには不釣り合いな…
頬にはバッサリと、ヤクザみたいな切り傷が付いてるようなヤツ。
仕返しのつもりだったのに、上原君は楽しそうにそれを見ていて。
「よし、じゃあ俺はこっちの取るから。」
お前はアレな?と言って。
虎のぬいぐるみをガラス越しに、トントンと指し示した。
もっと可愛いのが沢山あるんだけど…。
折角だしと、僕も財布から100円玉を取り出して。
チャリンとUFOキャッチャーに投入した。
「お前、ヘッタクソだなぁ~。」
「うぅ~…」
なんとなんと、上原君は僕似だというあのぬいぐるみを見事一発目でゲットし。
対する僕はと言えば…500円投入し終えても、全く取れそうな見込みもなく。
悔し紛れに千円札握りしめ、両替しに行こうとした所を上原君に止められてしまい。
結果…
「ほら、コレはお前のだ。」
ポンと投げて寄越されたのは…
僕が上原君似だと言った、あのヤクザなトラさんで。
「ッ…────!!」
男前って、どうして何やってもキマっちゃうんだろう。俺に任せとけ、とか…僕なんて死んでも言えないよ?
しかもまた、一発でやってのけるし…
そりゃモテるハズだよ。
さり気なく《《トラさんの方》》を、僕に寄越しちゃうとことか…さ。
コレ、意味とか考えてるのかな…?
上原君が持つと僕似らしいブチャイクなぬいぐるみも、スッゴく可愛く見えちゃうし。
なんならいっそ、僕と代わってくんないかなぁとか…
どうかしちゃってます、僕。
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