32 / 54

18

side. Tamotsu 沈んでた気持ちを再浮上させ、 ふたり奥まった所にあるファミレスまで向かう。 とぼとぼ歩いて右手に目的地が見えてきた頃、 丁度その店から出て来る少年らと擦れ違い───… 「あれぇ~…お前、上原じゃね~?」 擦れ違う前に、5人組のド派手なその少年らに、 声を掛けられてしまった。 「…………」 友達なのかな…? そう思って上原君をチラリと見上げると… なんとも不機嫌そうに眉間へと皺を寄せてて。 ツリ目を更に釣り上げながら、声を掛けてきた相手に対し…殺気丸出しで睨み返していた。 「そんな睨むなって~。同中の仲じゃんよ~?」 …どうやら、中学時代の知り合いみたい。 けど2人の様子を見る限り、仲の良いには全然見えなかった。 「待てよ、久し振りに会えたんだしさ~…?」 僕を庇うように手を引いて。 無視を決め込み、先へ行こうとした上原君の肩をガッシリ掴む…先ほどの、鼻ピアスの少年。 …顔がかなり厳ついから。 少年て表現も、ちょっと違和感があるかもしれない。 それよりどうしよう、 なんとなくヤな感じだ、この人達…。 決して友好的とは言えない彼らに、空気と化し肩を窄め、佇んでた僕。 けれど… 「何コイツ~!パシリにしちゃ、頼りなさすぎだろ~?」 いつの間にか近寄ってきた別の少年が、まるで逃がさないとばかり僕の肩をガシリと掴んできた。 くっ…わざとかな、なんか苦しいんだけど…。 「ソイツに触んじゃねぇ…」 今にも飛びかかりそうな勢いで、 僕に絡んできた少年を威嚇する上原君。 少年は最初、あからさま怯んでいたけど。 「こわ~い!」とおどけながら、ソレを躱していた。 「あ~…?もしかして、さぁ…」 そんな遣り取りを見た、鼻ピアスの少年が。 何か悪戯を思い付いたかのよう、下品な笑いを浮かべ始め。 上原君の肩を掴んだまま、ニタニタと顔を近付ける。 あからさま嫌悪を露わにした上原君に対し、 彼は突然…信じがたい台詞を投げて寄越した。 「このチビ……お前のだろ?」 「なっ…」 思わず絶句したのは僕で。 途端に心臓が、嫌な音を立て…軋みだす。 「……………」 「オレさぁ~、ちょい前に見ちまったんだよね~。森林公園で、さ~?」 ドクン…ドクン… 何言ってんだろ、この人…やだ、やめて─────… 「お前…、してただろ?」 「………!!」 あの日、綾ちゃんと上原君の事を… 見てたんだ、コイツは… 「正直ドン引きしたぜぇ~?顔が良いと、女も男も関係なく節操ナシになんだなぁ~。まあ…あんだけ女とヤりまくってりゃ、飽きてもくるわなぁ?」 「……………」 表情は変わらず、黙ったまんまの上原君。 けれど握られた拳は…ギチリと震えていた。 「こんな冴えねぇチビでも、突っ込めりゃ何でも良いもんな?そんなイイのか?ケツの穴ってのはよ~。」 ドッと品の無い笑いを飛ばす5人。 何が可笑しいんだか、僕には全然解らない。 だって上原君は、上原君はっ─────… 「………れ…」 「あン?」 その声に、僕へと肩を組んだままのヤツだけが気付いて…笑うのを止める。 抑えきれない怒りが、 喉元を突き抜け、一気に溢れ出し。 「謝れ……上原君に謝れッ…!!!」 気付いたら僕は、鼻ピアスに突進してた。

ともだちにシェアしよう!