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第6話 浅い関係

 長い間引きこもり、全くと言っていいほど他人と接することをしてなかった涼一だが勇介相手には意外と饒舌だった。  今ハマってるスマホゲームやYOUTUBEのお気に入りなど、どんどんおしゃべりしてくる。  しかし。18歳と36歳の歳の差。ジェネレーションギャップがひどくて勇介は話についていけない。そんな勇介に涼一は憎まれ口をたたいて来る。 「先生ってさ、見た目は大学生でも通るけど。やっぱりおじさんだねー」 「はいはい。それより食事はとったの?」  小さな子供を諭すように対応すると、涼一は少し機嫌を損ねたように唇を尖らせた。 「……食べたよ。食パン」  そう言って机の上に視線を送る。  勇介は溜息をついた。  今はもう夕方の五時だ。なのに、涼一は六枚切りの食パンを一枚食べただけだと言う。  涼一はほとんど食事をとらない。家政婦が作った料理もたまに気が向いたとき摘まむだけみたいである。  食べ盛りの時期によくそんなので生きていると思う。  だからものすごく華奢だ。もともと骨格が細いこともあり首なんて少し力を加えたら折れてしまいそう。  二度目のため息とともに勇介はコンビニで買って来た食料を渡す。 「ほら、これ。食べて」  本当は訪問看護師がここまで患者にしてあげる権限はないのだが、放っておくことはできなかった。  涼一も勇介が買って来たおにぎりやゼリー飲料は素直に食べてくれる。  そんなふうに少しずつだが二人の間に信頼関係が芽生えつつある。  でも、勇介の患者は勿論涼一だけではないので、三十分経てば次に向かわなくてはならない。  ちょっとは特別扱いしているところもあるが俺と涼一はあくまで訪問看護師と患者にすぎないのだから。  しかし、そんな関係が一気に変わろうとする出来事が起きるのである。

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