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第10話 打ち明け話

 チーズバーガー四個にポテトフライのL二つを二人で平らげた。  涼一は美味しそうにバーガーを頬張り、今までの食欲のなさが嘘のようだった。  食べ盛りだもんなー。今までがおかしすぎたんだ。  そんなことを思っていると、食べ終えた涼一が何か言いたげに勇介の方を見つめて来た。 「ん? 何?」 「……先生みたいな人って初めてだ」 「そうかな?」 「家庭教師とかさ色々来たけど、誰も長続きしなかったし」 「友達は?」 「知り合い程度ならいるけど……本当の友達っていないかな。リスカするし、引かれてる」  いつもは話してくれないことをぽつりぽつりと打ち明けて来る涼一に、勇介は核心に迫った質問をしてみた。 「君はどうして部屋にこもるようになったの? 大学生活は楽しくなかった?」 「普通。でも俺は大学で一生懸命勉強して、父さんの会社を継ぐのにふさわしい人間になりたかったんだ」  そしたら父さんも母さんも少しは俺のことを見てくれるかなって思って。  寂しく微笑みながらそんなふうに言う。 「違ったの?」  唇を噛みしめてうなずく涼一。 「父さんも母さんも将来、俺を顔も知らない女と結婚させて会社を大きくすることしか考えてないことが分かった。なんかそのことを知った瞬間もう自分の人生ってないんだなとか思っちゃって、生きていることがどうでも良くなった」 「逃げようとは思わなかったの?」 「思ったよ。何度も。実際家出もしたけど、すぐに見つかって連れ戻された。今はもうあきらめてる。結局、決められた人生を歩くしかないんだなって。大学行く気もなくなって、そんな自分が嫌でたまらないんだけど、仕方ないもん」 「…………」  政略結婚……。  涼一の打ち明けてくれた話は、あまりにも勇介自身の置かれた境遇と似ていて、驚きを隠せない。  そしてそれと同時に自分なら涼一をこの環境から逃がしてあげることができるかもしれないとも思った。  

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