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第14話 新婚生活の始まり
勇介の部屋に一歩足を踏み入れた瞬間、涼一は開口一番言った。
「狭い」
「うん。まあ、今まで君がいた部屋と比べると段違いに狭いね」
勇介もまた同意した。
「こんなところで二人暮らせるの? 俺、ホテルに泊まる」
「だめだよ。一緒に暮らしてもらう」
「どうして? 男同士で結婚なんて冗談だろ?」
「冗談じゃないよ、それに……」
勇介は言葉を切ると、涼一の体をまさぐり始める。
「わっ! 何すんだよ!!」
「……やっぱり、あった」
剃刀が数本と薬の袋が涼一の体から出て来た。
「あ……」
バツが悪そうな顔をする涼一に向かって勇介は言ってのけた。
「こういうのに依存している限り、涼一くんには僕の傍にいてもらうから。例えこの結婚が政略結婚だとしてもね」
「…………」
うつむいて黙り込んでしまった涼一の頭を優しく撫でると、
「そんな不安そうな顔をしないでいいよ。君の悪いようにはしないから。僕を信じて」
幼子に言い聞かせるようにすると、
「お腹すいただろ? 今すぐご飯作るからね」
続けてそう言い、微笑んで見せた。
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