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第28話 淫らな指
まだ何かを投げつけようとしている手がぴたりと宙でとまる。
そして、きょとんとした顔で。
「前立腺?」
「そう」
ウブな少年はその言葉さえ知らなかった。
勇介は看護師だから人間の体について人より少しは知識はある。……男同士のセックスの仕方も知っている。でもそれは高校生の時に隣の席だった女子生徒がかなりのBL好きで――腐女子というらしい――その彼女から嫌って程聞かされたからというのが本当のところなのだが。
それはともかく、あまりにも『妻』の反応が可愛くて、勇介はもう少し彼をいじめてやりたくなった。
まだきょとんとした顔をしている涼一の腕を引っ張るとベッドへ押し倒す。
「何するんだよ!!」
突然、ベッドへ抑えつけられて涼一の瞳に微かに怯えの色が走る。
そんな瞳をさせたいわけじゃない。俺は何も考えられなくなるまで涼一を快楽の海へと落としたいだけだ。
「大丈夫……怖くないから……」
勇介は優し気な容姿をしているとよく言われる。人に安心感を与える、そんな。
でも多分今は違う。涼一の瞳に映りこむ自分は野生の雄の顔をしている。
「やだ……何? 先生……」
小さく震える涼一の唇に触れるだけ優しい口づけをすると、勇介はその華奢な体をひっくり返した。それから腰の下にシーツの塊を入れ、お尻を少し浮かせる形を取らせる。
「―――!?」
びっくりした目で勇介を振り返る涼一の前で、中指を舐めてじっくりと濡らすと、双丘を大きく広げてからその指を後孔へと挿入する。
「やっ……いやぁ……」
まだほぐれていない涼一のそこは勇介の指を弾き返そうとしてくるが、それを強引に進めた。
「痛い? 涼一くん?」
涼一は声も出せないようで必死にこくこくと頷いて痛みを訴えて来る。
「それじゃ、これで、どう?」
勇介はゆっくりと指を進めながらシーツの中にもう片方の手を差し入れると涼一の性器を上下に擦り始める。
「あっ……」
前に与えられる快感に涼一の体から一瞬力が抜け、その隙を見逃さず勇介は彼の前立腺を刺激した。
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