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第40話 好き……

SIDE.YUUSUKE  夜のスタンドの明かりに浮かび上がる涼一も綺麗だったが、朝の眩しい光の中で見る彼もまたすごく綺麗だった。  滑らかな肌は毛穴さえ見えない。……そのぶん左手のリスカの痕だけがひどく目立つ。  パジャマを脱がせていく間、涼一は弱弱しく抵抗したが、その瞳にはどこか期待みたいなものが混ざっていて。  それを大義名分に勇介は涼一の上へと覆い被さった。  本当に本気で涼一が抵抗すれば、いつでもやめるつもりだった。  その見た目ゆえか他人は勇介のことを優しいと口をそろえて言うが、自分とて聖人君子ではないし、みながいうように優しいだけの人間でもない。  当たり前だが好きな人を相手にすると、普通に雄の欲求だって持っている。 「涼一……気持ち、いい?」  涼一の小さな乳首を口に含み、右手で彼の性器を擦り上げると、 「あ……や……」  切なくも甘い声が唇から漏れる。  涼一は敏感な体をしていて、あっという間に高みへと昇りつめる。  イッたあとの余韻にたゆたい、肩で息をする涼一の双丘を揉みしだき、その奥にある小さな孔へと中指を滑り込ませる。  出し入れを繰り返すと、イッたばかりの性器が再び勢いを取り戻して来る。 「淫らな体だね、本当に……涼一」 「や……勇介さ……」  勇介はベッドサイドの小さなテーブルの引き出しからローションを取り出すと、涼一の後孔と自身の雄へとたっぷりと塗り付ける。  そして一気に涼一の体を貫いた。 「ああっ……やだぁ……」  甘く掠れる悲鳴とともに涼一の背中がのけ反った。  涼一の中は熱くて狭くて、きゅうきゅうと勇介を締め付けて来る。 「涼一……」  勇介はしばらく動かずに、涼一の中を堪能していたが、やがて、それでは足りなくなってきて、 「動くよ?」  その言葉とともにゆっくりと出し入れを始める。 「あ……や……や……」  涼一は勇介の背中に縋りつき、その背中に爪を立てた。 「勇介さん……、ああ……」  涼一の大きな瞳から零れ落ちる涙は、痛みの所為か、快楽の所為か。おそらくは後者だろう。その証拠に涼一はギュッと勇介に抱きついて来て離れない。  ゆっくりだった動きが徐々に速くなるにつれ、涼一の喘ぎ声もせわしなくなり、華奢な体がベッドの上で揺さぶられる。  そして、一際奥深くを突いたとき、涼一はピクピクと痙攣しながら射精し、勇介もまた涼一の中で欲望を解き放った。  二人して高みへと昇りつめた後、勇介は涼一に腕枕をしてやった。  涼一は目を閉じている。てっきり眠ってしまったと思っていたが、おもむろにその大きな目を開くと、勇介を見つめて言葉を紡いだ。 「……勇介さん、俺、勇介さんに聞きたいことがあるんだけど」 「何?」 「…………どうして、俺にこんなことするの?」 「好きだからだよ、涼一が」  勇介の告白に涼一は目を見開いて驚く。 「本当に俺のこと好きなの?」 「前にも言ったと思うんだけどね」 「俺は聞いてない」  挑むように見つめて来る涼一に、勇介は苦笑しながら答える。 「好きじゃなければ、同性相手にセックスなんてできないよ。俺は」 「それじゃ、本当に本気で俺のこと……」 「好きだよ……なんなら、もう一回体に教えてやろうか?」 「勇介さん……」  涼一がウルウルした目で見上げて来るのが可愛い。 「涼一は俺のこと、どう思ってる?」 「……好き、と思う」 「『思う』ってなんだよ?」 「だって俺、誰かに恋したりするの初めてだから分からないんだもん」  拗ねたような口調で告白する涼一が可愛らしくて、勇介は思わず笑みを零した。  涼一も俺を好きでいてくれるんだろう。  ……ということは、俺が君の初恋の相手ということか。  勇介は素直に嬉しかった。  今、涼一が腕の中にいる事実が幸せでたまらない。  例えいつかはこの腕の中から飛び出してしまうとしても。  勇介は涼一の柔らかな髪を撫でた。 「少しお休み。疲れただろ?」 「勇介さんは?」 「そうだね、俺もひと眠りしようか。今日はとことんまで涼一に付き合うって決めたから」  勇介がそう言ったとき、スマホが音を立てた。マナーモードにしておくのを忘れたらしい。無視しようとしたが、スマホはしつこく鳴っている。表示されている番号は父親のものだ。  やれやれ。  仕方なく勇介は電話に出た。

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