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第46話 快楽に溺れる

 お粥を食べ終えると、勇介はもう一錠だけ涼一に精神安定剤を飲ますと、ベッドに横にならせた。  すぐに眠りに落ちる涼一。  勇介は再びその寝顔を見つめつつ思う。  ……このマンションから引っ越しした方がいいかもしれないな。父さんのことだ、一回ではあきらめないだろう。  明日から部屋探しだな……そんなふうに考えながら、勇介は涼一の額にキスを落とすと、その場を離れた。  食事の後片付けをして、シャワーを軽く浴びて出て来ると、涼一がひどくうなされていた。 「涼一? 涼一!」  強く呼びかけると、涼一は目を覚ました。  勇介の姿を認めると泣きながら縋りついて来る。 「勇介さん……、俺、もう一人ぼっちはやだ……どこにも行かないで!」  目を真っ赤にして訴えて来る姿に胸が痛んだ。 「どこにも行かない。俺は涼一のものだよ」 「……政略結婚でも?」 「最初はそのつもりだった。でも今は違うよ。誰よりも涼一が大切なんだ。君が望むなら、いつまでも傍にいてあげる」 「勇介さん……」  勇介はゆっくりと涼一にキスをした。最初は啄むように、やがてキスは深くなり、舌を絡ませる。  涼一もまだまだ拙いながらも必死にキスについて来てくれる。  勇介は包帯が巻かれた左手にそっと唇を這わせる。 「もう二度と、こんなことはしないで欲しい」 「……ごめんなさい。あの女の人や勇介さんのお父さんのことを考えると、どうしても我慢できなかったんだ」 「俺は決して涼一の傍から離れないから。もう二度とこんなことはするな」  そう。俺から涼一の傍を離れることはない。もし離れて行くのなら涼一、君の方だから。  その言葉は言わずに、勇介は涼一を抱きしめた。 「勇介さん……」  勇介は涼一の上に覆いかぶさり、その華奢な体を愛撫していく。パジャマを脱がして素肌に唇を這わせると、涼一は微かに震えた。  首筋から鎖骨、鎖骨から胸元へと唇を滑らせ、小さな胸の突起を口に含む。 「あっ……」  涼一の口から甘い声が漏れる。  片方の乳首を唇で、もう片方の乳首は指先で弄ぶように刺激すると、涼一は体をのけ反らせて喘いだ。  必死に声を抑えようとするが、どうしても漏れてしまうといったふうな涼一の反応が可愛くて仕方ない。  勇介の太ももの辺りで勃ち上がりかけてる涼一の性器にも手を伸ばすと、 「ああっ……」  艶めかしい声が一際大きくなった。  乳首を愛撫していた唇を徐々に下の方へと滑らせ、涼一自身を唇に含むと、  彼の体が大きく跳ねる。 「あっ……やだっ……」  涼一は自分の下腹部にある勇介の頭を必死でどかそうとしているみたいだが、その手にほとんど力が入っていない。  勇介が舌を使って涼一を舐めたり、喉の奥で締め付けたり、吸い上げたりすると、彼はあっという間に達した。  勇介の口内に広がる涼一の精液。それを勇介は飲み干し、性器に残った残滓も綺麗に舐めとってやった。  涼一は顔を両腕で隠して泣きじゃくっていたが、それは悲しみの涙じゃなくて、確かに甘い響きがあった。 「涼一、気持ちよかった?」 「……そんなこと、聞かないでよ……勇介さんのバカ、エッチ」  涼一の言葉に苦笑すると、勇介はベッドサイドのテーブルの小さな引き出しからローションを取り出した。  涼一と抱き合うようになってから購入したものだった。  勇介は涼一の体をうつぶせにすると、双丘の間にローションを垂らした。 「ひあ、冷たい……!」 「すぐに快くなるよ……涼一」  耳元で吐息のような声で囁くと、涼一は肌を粟立たせた。  勇介は涼一の双丘の奥にある小さな孔に、自分の長い指を挿入する。 「あ、やだっ……」  最初は一本、そして二本、三本が入る頃には涼一は既に快楽に捕らわれていた。 「あ、ああ、あああ……」  涼一の腰が自然に揺れ、もっと強い刺激を欲しがる。  勇介は涼一の双丘を両手で左右に広げると、綺麗な色をした後孔へ己の雄をあてがう。 「挿れるよ、涼一」  そして、一気に彼の体を貫いた。 「あー……!」  掠れた悲鳴を上げる涼一。どうやら挿れた瞬間にイッてしまったようだ。  涼一の中がものすごく締め付けて来て、勇介も小さくうめく。 「くっ……」  すぐにでもイッてしまいそうなのを耐える。  えぐるように涼一の中を突きあげると、ちょうど前立腺にあたるのか、涼一が快感に泣きじゃくる。  ……自分は卑怯だと勇介は思う。  涼一が自分の道を歩きたいといえば、いつでもその背中を押してやるつもりだと上辺では思いながらも、こんなふうにして快楽を彼の体に教え込み、離れられないようにしている。  俺は涼一を本当は離したくない……彼の世界を狭めても自分の傍にいて欲しい。  結局惚れた弱み。  甘い善がり声をあげる涼一の最奥を何度も何度も突きあげながら、勇介は快楽に溺れて行った。  

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