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【10】

「なあなあマジで響って狙ってる子も付き合ってる子とかもいないわけ?」 「……いい加減しつこいんだけど。いないっていってるだろ」 予定していた木曜の放課後、俺はタクヤと学校から一番近いスーパーに買い出しに来ていた。 「いやーでもさ、俺ら高二だよ?今まで何の経験もないってやばくね?普通彼女のひとりくらいいたことあるだろ」 普通、という言葉にイラっとした。 が、出来るだけそれを出さないように 「悪かったな、何の経験もない奴で。いつか彼女出来たら言うわ」と軽い感じに言ってこの話題を切り上げようとしたらタクヤがふっと笑った。明らかに馬鹿にしている笑い方だった。 「お前、男として枯れてんじゃね?」 冷静に考えるより先に口が開いていた。 「さっきからうるせえんだよ!お前に何がわかるって言うんだ…!」 タクヤは突然のことに呆然としながら「……な、なんだよ、マジになんなよ……」と泣きそうな声で言った。 周りにいた主婦や子供の視線も痛いほど感じる。 泣きたいのはこっちだと思いながらタクヤには「……会計してくるから先帰ってて」とだけ言って俺は逃げるようにレジに向かった。

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