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【15】
それからも木月とは挨拶や軽い会話をしても一緒に帰ったり長く行動を共にするような状況は適当な理由をつけて避けるようにした。
そんなことを何日か続けているうちに調理実習当日になった。
朝から若干頭が痛く、ここ最近の自分の馬鹿な行動のバチが当たったかななんて考えながら頭痛薬を飲んで登校した。
が、授業が始まるとそんなことを考える余裕もなくなるくらい頭痛が酷くなってきた。
「なあ、今日ちょっと寒くね?」
「?むしろ暑いくらいだけど」
寒さまで感じてきて今六月なのに変だなと思って友達に言うと何言ってんのという顔をされた。
それを聞いてこれは風邪の寒さだと気づいた。
激しい運動をするような授業がなくて良かったと思いながら現文、数学、日本史…と授業を受け四時間目の家庭科になった。
ぼうっとして包丁で手を切ったらまずいと思い、具材を切る時は周りの声が聞こえなくなるくらい集中した。
特に問題なくカレーは出来上がり俺は棚にグループの人数分皿を取りに行った。
正直食欲なんてないどころか料理の匂いを気持ち悪くすら感じたが、耐えて六枚分の皿を棚から出す。
そして自分のグループのテーブルに戻ろうと一歩踏み出した瞬間、急に足に力が入らなくなった。
「危ない……!」
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