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【16】
倒れそうになったところを支えてくれたのは木月だった。
「大丈夫か、お前熱すごいぞ」
答えられないでいると木月は危なくないよう俺の持っていた皿をクラスメイトに渡し何事かと声をかけてきた先生に保健室に行くことを伝えると、俺を支えながら保健室まで付き添ってくれた。
「失礼します」
木月が簡単に先生に事情を説明してくれ、俺はぼんやりとした頭で聞いていることしか出来なかった。
指定されたベッドに座り渡された体温計で言われるがまま熱をはかると三十九度を超えていた。
寒いという俺に布団を渡し先生はすぐに保護者に電話をすると言って保健室を出て行った。
「ごめん、色々ありがと……」
「いいよ。それよりしんどかっただろ。もっと早く気付いてやれたら良かった」
木月はそう言いながら横になった俺に布団を優しくかけてくれて、その優しさに思わず涙が出た。
そんな俺の姿を見て木月は大丈夫かと余計に心配そうな表情になった。
「そうだ、いつでもすぐ帰れるように荷物持ってきてやるよ」
そう言ってドアに向かおうとする木月の手を、俺は気づいた時には無意識に掴んでいた。
「………行かないで」
縋るような声でそう言う俺に木月は不思議そうな顔をしていたが手を振り払ったりするようなことはなかった。
ーーー嫌だ、行かないで。話を聞いて。無視しないで。抱きしめて。否定しないで。ただそばにいてーーー。
様々な感情が言葉にならずただぼろぼろと涙になって落ちていった。
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