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【19】
「おはよう、もう体調は大丈夫か?」
下駄箱で靴を履き替えていると声をかけてきたのは木月だった。
「おはよ。一応薬は持ってるけど熱は下がったから……。昨日はありがと、その……色々……」
高熱があったとはいえ、保健室での自分の醜態を思い出して恥ずかしさで昨夜から何度死にたくなったかわからない。
あんなみっともなくボロボロ泣いて手まで握ってもらって……。
「……あ、あのさ木月……」
昨日の話の続きを、と言おうとすると先に「一ノ瀬、放課後時間ある?」と聞かれた。
こくこくと全力で頷く。
「じゃあ放課後教室に残っててもらえるか?ちゃんと話をしたいし」
「……ん」
優しく笑う木月とは対照的に、俺は高鳴る心臓を必死に抑えながらそう短く返事をすることしか出来なかった。
***
それから放課後まで俺は木月との話のことで頭がいっぱいだった。
俺は好きだって告白したし、木月も好きだと返してくれた。
両想い…………なんだよな……?
まさかあの状況で「友達として」とか泣いた俺に同情して言ってくれた…とかじゃないよな……?
悶々とする俺とは違いいつも通りに授業を受けて女子に声をかけられている木月を見ていると段々変な不安が浮かんできた。
でもどれだけ不安が大きくなっても聞くに聞けず放課後まで嫌でも待つしかなかった。
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