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「従兄弟なの、私。孝宏と」 二宮さんが固まっている俺の前にきて木月と自分を指差してもう一度同じことを言った。 従兄弟…ああだからあんなに仲が良いのか……ってか薬局で見かけた時も思ったけど二宮さんクラスで見る時と今と感じ違くね…?普段はもっと大人しくておっとりしてる印象が……というか何より今聞かれたらまずい内容を思いっきり聞かれたんじゃ……。 心配が顔に出ていたのか二宮さんは俺が何か言う前に「あ、安心してね。ふたりのこと誰かに言いふらそうとか思ってないから。孝宏が一ノ瀬くんのこと好きなのはとっくに知ってたし、変な偏見とかないから」と笑顔で言った。 「あ、ありがとう……」 状況に頭がなかなか追いつかずそれしか言葉が出てこなかった。 「……お前何しにきたの」 木月はさっきとはうってかわって明らかに不機嫌そうな顔で二宮さんを見ていた。 「別に、忘れ物取りにきただけよ。ってかいい加減格好つけるのやめたら?ずーっと好きだった一ノ瀬くんとやっと両想いになれて嬉しいのはわかるけど」 「うるさいな、お前だって普段クラスじゃ猫被ってるくせに」 木月の言葉に思わず俺も「……二宮さん、猫被ってんの?」と聞いてしまった。 二宮さんはニコッと普段クラスで見せるような柔らかい感じの笑顔を浮かべた。 「猫被ってるわけじゃないの。ただおしとやかな子って周りに思われたいの」 「……なんで?」 「うちのクラスに山崎さんっているでしょ。あの背が高くて運動神経抜群の子。私山崎さんが好きなの」 ヤマザキさん……確かにうちのクラスにひとりだけいるけど……。 「え、でも……山崎さんって女じゃ」 そうよ、と二宮さんは何でもないことのように頷いた。

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