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「山崎さんってすごく格好良いと思わない?陰口とか悪口とか絶対言わないし、あんなに何でも出来る人なのにそれを鼻にかけることもないし。背も高くて王子様みたい」 そんな山崎さんに釣り合うようなおしとやかで可愛い女の子になりたいの、と笑顔で話す二宮さんに圧倒されて「……凄いな」と本音が出た。 「…………?何が?」 「……そんなはっきり好きだって言えて凄いなって。二宮さんは山崎さんが……その、同性ってことに悩んだりしねーの?」 しないよ、と二宮さんは即答した。 「そりゃもちろん相手に恋人がいたらとか、告白したいけどどうしようとか、人並みには悩むよ?でも少なくとも私や孝宏は好きな人が同性ってことでずっと悩むことはないなあ。だって悩んだって好きな気持ちがなくなるわけじゃないし、好きになっちゃったものはしょうがないじゃない」 「……まあ俺らはお互いが奇跡的に同じ考え方だったから何かあった時に相談出来て悩むことがなかっただけで、だいたいの人は色々考えると思う」 木月の言葉にうんうんと二宮さんは頷く。「これはあくまで私らの考えであって悩むのが悪いとかくよくよして馬鹿らしいなんて思ってないから。環境や状況が違うんだから考え方や捉え方が違って当たり前なんだし」 「…………そう、だな。ありがと」 自分にはない考え方に感動すら覚えながら礼を言うと二宮さんがにこっと笑った。 「私、一ノ瀬くんとこうして話すのは初めてだけど、孝宏がメアド交換出来て嬉しかっただの、料理教えてもらって緊張しただの一ノ瀬くんのことよく話してきてたからなんか初めてって感じがしないんだよね。なんかずっと前から友達だったみたいな気がする」 「俺の話?」 「うん、孝宏、一ノ瀬くんの話いつもしてるよ。今こんな格好つけてるけど」 本当に?と隣にいる木月の顔を見るとふいっと顔を背けられた。 表情が見えなくても耳が赤いから照れているのがわかった。

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