「映画？」 「ああ、来週テストだからその後にでも。一ノ瀬が嫌じゃなければ」 「俺、映画館で映画ってあんまり観たことないんだよな。いつもDVD借りて家で観ちゃってさ」 「家のほうが良ければそうするか？俺は別にどっちでも良いけど」 うーんと迷って、結局DVDを借りて家で観るほうを選んだ。 この間の料理の時は木月の家に行ったから今度は俺の家に来れば、と言うと木月が嬉しそうに笑った。 ＊＊＊ 「……というわけで再来週の土曜に木月が家にくるから」 夕飯を食べながら俺は兄貴にそう報告した。 兄貴には木月とのことを全部赤裸々に話してある。 「良いじゃん、俺もその日ちょうど貴文と出掛ける予定があるし家にはいないから、存分にふたりで楽しみな」 「うん…兄貴、貴文さんとの初デートってどこ行った？」 「俺？俺は確か……水族館だったかな」 まあ好きな人とじゃ水族館だろうが映画館だろうが家だろうが楽しいけどな、と兄貴は笑った。