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第122話

 多くの武人が乱立した時代から、この平川将軍家が代々将軍として治める時代に変わったように、時は流れ人々の営みは姿を変える。新たな命が産まれ、若き日が過ぎ去り老いて、いずれ命が尽きるように、それは避けることも止めることもできるものではない。若き将軍である茂秋はそれを理解していた。なぜ弥生が己にその話をしたのかという真意も。己が治める〝今〟が、静かに動き出しているということも。 「そちの〝夢〟を誰もが願う時がいずれ来るであろう。古きを尊ぶ者が抗おうと、時代は流れる。そちの〝夢〟が略奪の限りを尽くす残虐なものであったならば余は我が刀でもってその首を刎ねなければならぬが、無辜の民にとって優しい時代であるのならば、余はそれを否とは申さぬ」  先ほど弥生がしたように、茂秋もまた柔らかな光に包まれた美しい庭に視線を向けた。将軍として産まれ、この美しい城で育った茂秋にとって、柔らかな陽光も、花々が美しく咲き乱れる庭も、口に含む菓子も、さほど特別に思うものではない。強いて言うのであれば〝あって当たり前〟のものである。弥生は茂秋にただ耐え、明日に怯えることしかできぬ者がいることを知っているかと問うた。口に出すことはしなかったが、その答えは否だった。

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