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第167話

「湊、彼がこの前話してた雪也だよ~。この辺りの皆からは雪ちゃんって呼ばれてるね。僕も雪ちゃんって呼んでるんだけど、すごく優しい薬売りの子なんだよ~。最初はね、雪ちゃんが独りで住んでたけど、今は周っていう無口だけど可愛い子と、由弦っていう元気いっぱいな子と、サクラちゃんっていう小っちゃくて可愛いワンちゃんと一緒に住んでるんだよ」  また周たちにも会えると良いね~、と、ほぼすべて蒼が紹介してくれたので、雪也は微笑みながら「はじめまして」と会釈した。そんな彼に湊は由弦とは少し違うけれど、人懐っこい笑みを浮かべる。 「はじめまして雪也。雪也は珍しいね。ここの人たちは遠巻きに俺を見るのに、自分から近づいてきて、話を振るなんて。蒼と一緒で風変り」  風変りだと言われた蒼はケラケラと笑っていたが、雪也はコテンと首を傾げるばかりだ。 「……遠巻き? どうして?」  どうして遠巻きに見る必要があるのだろうと本気で不思議がっている雪也に、湊は目を見開いた。恐る恐る、蒼に視線を向ける。 「ねぇ、もしかして雪也は目が不自由なのかな? 俺、失礼な事言っちゃった? それとも、もしかして俺知らない間に黒髪黒目になってる?」  雪也にはこの金髪碧眼が見えていないのかと湊は本気で疑うが、そんな馬鹿なと蒼は再び笑った。 「まさか。雪ちゃんの目はちゃんと見えてるし、今も僕の目には綺麗な金髪に緑の目だよ~」  とっても綺麗と髪を撫でる蒼の手にくすぐったそうにしながら、湊は再び不思議そうにしている麗人を見た。この美しい人は、金髪碧眼を恐れないのか?

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