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第183話
「怒ってないよ。周は、怒られるようなことしてないんだから、怒ったりなんかしない。だから、そんな風に怯えなくて大丈夫だよ。本当に、湊と蒼を誘いに行くだけだから」
もし仮に雪也が周に対し怒りを覚え、離れようとしたとしても、何も怯える必要は無い。周にはたくさんの人たちがついている。そう教えてあげようと思ったけれど、何故だかそれを言葉にすることは躊躇われた。代わりにほんの少し屈んで、周と視線の高さを合わせてから彼の髪を撫でる。
「帰りに何か、甘いものでも買ってこようか。周の好きなお団子も一緒に。だから、お夕飯お願いね。帰ったら、僕も手伝うから」
子供を宥めるように言われて周は少しムッとする。それも計算の内なのか、雪也はそんな周に微笑んでポンポンと頭を撫でると庵を出ていった。
「……いっつも、子ども扱い」
雪也にとって周は、どこまでいっても守るべき存在だ。周に守られるなど、僅かほども考えていない。それが歯がゆくて、どうしてもムッと唇を僅かに尖らせてしまう。その姿に、優がクスリと小さく笑った。
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