身近な人で例えを出されたおかげか、由弦も湊もすんなりと違いを理解することができた。どうしようかと迷う湊に対し、由弦はすぐに紫呉へキラキラとした視線を向ける。 「俺は強さが良い！」 　その答えは湊の予想通りで、紫呉はそんなに即決で良いのかと口では言うものの、嬉しそうに笑って由弦の頭をワシャワシャと撫でた。嬉しそうな由弦に微笑ましそうな笑みを浮かべ、湊も選択する。脳裏には、ニコニコと笑う彼の姿があった。 「俺も強さが良いかな」 　そうしたらきっと、何があっても守れるから。 「おし！　んじゃ、それ用に鍛えるぞ！」 　湊の胸の内など当然知らない紫呉は豪快に笑い「やるぞー」と拳を上げた。同じように由弦も「おー！」と拳を上げる。傍から見れば茶番以外の何ものでもないであろうそれが、どうにも楽しそうで、湊もほんのちょっぴり恥ずかしいと思う己をどうにか胸の内に押し込んで、「おー」と拳を上げた。