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第220話

 少し周と話していたことによって、庵から出た時にはすでに雪也の姿はどこにもなかった。だが、庵を出たことで警戒を説いたのだろう、僅かに気配がする。 (流石に夜中に走らねぇよな)  ならばまだ思ったよりも近くにいるだろうと予想して、紫呉は気配を消しながら足を進めた。  昼間でもこのような場所は誰も通らないであろう道なき道を進み、木々の合間を縫って歩く。葉音を出さないように注意するのが少し面倒ではあるが、逆に誰もいないと思っている雪也からは葉音がするので、居場所がわかりやすいという利点もあった。  少し歩いて、ようやく紫呉は雪也の後ろ姿を捕らえる。太い木に身を隠して雪也を盗み見れば、隠されるようにしてある泉の前で立ち止まった。 (こんなところに泉なんてあったのか……)  知らなかったな、と呑気に考えながら雪也に視線を向け続ければ、彼はおもむろに帯に手をかけてシュルリと引き抜き、何のためらいもなく寝巻もその場に落として、真白な裸体を晒した。

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