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第388話

「それに、こっちも商売だからね、もう今にも餓死しそうな子供とかにはあげちゃうかもしれないけど、全部はあげられないでしょ? そうしないと次は僕たちが餓死しちゃうからね。それと同じ。雪ちゃんの薬は勿論だけど、ご飯もおかずも、無限じゃないし、全部をあげちゃうと雪ちゃんたちの分が無くなっちゃうでしょ? 雪ちゃんは、周や由弦がお腹を空かせてしまうのは、本意じゃないと思うんだ」  雪也は優しいが、大切さの優先順位はハッキリしている。特に、周やサクラは大人の庇護が無ければ生きていけない存在であるから、雪也は何をおいても守らなければならないと考えているだろう。そういう意味では、雪也の中で己を救ってくれた弥生よりも、周とサクラの優先順位は高い。弥生でそうなのだから、他の者など、語るべくもないだろう。 「ねぇ、雪ちゃん」  雪也はきっと、やり方を知らないのではない。以前やってしまったと落ち込んだ様子を見せていた時、雪也は周を守るために浩二郎を叩き伏せたのだから、紫呉に叩きこまれたものは全て、雪也も身に着けている。ただ、その姿を見せる瞬間を見極められないだけ。だから――。 「もう、切り捨てることも必要だと思うよ」  それがとても非道なことだとしても、怪我人からすれば情の欠片も無いようなことだとしても、それでも、蒼は思うのだ。

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