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第391話
できることなど限られている。医者ですらない雪也にすべてを救う術など無い。できないことは山ほどあるし、限界もある。周や由弦の事を考えれば、尚更に蒼の考えこそが正論だろう。
「蒼は正しい。何も間違ってなんか無い。こうなっているのが、例えば蒼達のように、自分以外の誰かだったなら、僕もきっと、同じことを言うと思う。でも、命を助けられた僕は、それを自分に言って良いんだろうか。もしも、それを許した時――」
ドロリと胸の内に蠢くのは、決して美しくないものだ。我儘で、身勝手で、薄情なもの。
もしも、もしも自分が非情な面を見せてしまったら、
「弥生兄さまは、僕を許してくれるだろうか」
優は、紫呉は、周は、由弦は、蒼は、湊は、サクラは、軽蔑しないでいてくれるだろうか。今まで通り、側にいてくれるだろうか。
「もしも、軽蔑の眼差しを向けられたら。そう思うだけで、僕はこんなにも恐ろしい」
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