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第433話
「…………わかってる」
ポツリと呟いて、周は再び膝に顔を埋めた。
わかっている。そう、わかっているのだ。
「……雪也は、俺たちを守ろうとしただけ。あいつが刀を持っていて、俺が戦えないから。だから、雪也は独りでどうにかしようとしただけ」
ありがとうと感謝こそすれ、責めるなんて間違っている。自分は雪也に守ってもらいながら感情のままに怒りをぶつけてしまったのだ。
「わかってる。雪也が俺たちの為にしたんだって。わかってる、わかってるけど、雪也が自分だけを犠牲にして俺たちを守ろうとしたんだって思うと、どうしようもなくイライラする」
雪也に危険な事はしてほしくないのに、自身を犠牲になんてしないでほしいのに、どれだけ周が想っても想っても雪也が誰よりも雪也を大切にしない。平気で傷つけて、何でもないように隠してしまう。今回だって、蒼が問い詰めなければ雪也は決して真実を話そうとはしなかっただろう。
「こんなこと続けてたら、いつか……いつか、雪也は――」
――死んでしまう。
そんな想像はしたくないし、言葉にもしたくない。けれど、恐ろしい予感ばかりが頭にこびりついて、消えてくれない。
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