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第446話

「お父さんは大変だね」  クツリクツリと笑う優に、弥生は小さくため息を零す。それでも素直に優の膝に頭を預け横たわるほどには、少し疲れていた。 「産んだ覚えはないがな」 「世の中のお父さんは皆、我が子を産んだ覚えは無いと思うよ」  それもそうか、と弥生はボンヤリと胸の内で思う。あぁ、駄目だ。一度緩んでしまうと上手く思考が働かない。 「弥生が起きるまでここにいるから、安心して少し寝たら良いよ。雪也のこともそうだけど、城に帰れば今以上に忙しくなるから、今はゆっくりと眠った方が良い」  優しい声音で、眠りを促すように髪を撫でる優に、弥生も瞼が重くなる。武衛に帰るまでは気を遣わねばならないことも多く、心を休める暇もない。近臣とはそういうものだと理解しているが、身体が疲れないわけではなく、こうして優に促されると身体が泥のように沈んで動かすことができなかった。

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