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第448話

「…………皆、外へ。春風さんと少し、話しをさせてください」  静宮には叶えられなかった、徳茂の最期を知る弥生と話しを。その願いにお付きの者達は少し躊躇った後、ゆっくりと頭を垂れて部屋の外に控えた。パタリと、襖が閉められる。 「……春風さん、お帰りになるまでずっと信じずにいましたが、どうやらまた、私は独りになってしもうたようです」  また、この広い広い江戸城で、たった独りに。 「宮様を、決して独りになどいたしません。私では役不足でございましょうが、それでも、弥生はずっと、宮様の味方でございます」  淀みなく言う弥生に、クシャリと静宮は泣き笑う。 「そう言うてくださるのは嬉しいことですが、前に上さんから聞いております。もしも上さんが亡くなられ、将軍位が芳次殿の手に渡るようやったら、その時は春風さんを幕府から遠ざけるよう命じると。ならば、やはり私は独りになってしまいます」  まして尊王攘夷が叫ばれる今、帝の妹たる静宮に幕府で息をつける場所はない。絶対的な庇護者である徳茂を失い、弥生までもが幕府を去る。確かに、静宮は独りぼっちになってしまうだろう。それでも――。

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