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第449話

「姫宮様、私の命が尽きるその日まで、私は姫宮様の味方であることに変わりはありません。確かに、上様からは有事の時まで衛府を離れるよう命じられました。しかし、姫宮様がお呼びとあらば、例えそこがどこであれ、私は必ずはせ参じ、姫宮様の手足となりましょう」  衛府から離れたとしても、弥生の命がなくなるわけではない。この命がある限り、約束を違えることも無い。けれど静宮は、その言葉に静かに涙を流した。 「春風さんには、大切なものが沢山あるはず。何より、秋森さんより私を優先するなどあり得ぬこと。それで良い。そうであるべきなのです。ただ……ただ、私は上さんと離れてしまいます。それが、こんなにも寂しいことやとは」  できる事ならば、一緒に連れて行ってほしい。ずっと、ずっと、一緒に。 「……以前、こんなことを聞いたことがあります。例えどれほど輪廻を繰り返そうと、縁は切れることなどない、と」 「え……」  知らず、声が零れ落ちる。何を言うのかと目を見開く静宮に、弥生は努めて微笑んでみせた。

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