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第450話

「縁というものは不思議で、我々が思っているよりもずっと深く、強く、切れぬもの。今世で結ばれた縁もあれば、ずっと昔の過去世から結ばれた縁と再び巡り合ったものもあるのだそうです。そしてその縁は来世にも続くと」  徳茂と静宮は夫婦の縁で結ばれている。それは友や知り合いなどよりもうんと強い縁だろう。この縁が過去世からのものか、今世からのものかなど只人にわかるはずもないが、それでも、縁は結ばれた。 「信じる信じないなど、その人によります。何を荒唐無稽で、子供の夢物語のようなことを、と思う者もいるでしょう。ですが、私は信じています。縁は――切れてくれるなと願う縁は、きっと、永遠に切れることなく私の側にあると」  静宮が信じるかどうかなどわからない。だが弥生は信じている。徳茂と静宮の縁は、切れることは無いのだと。 「……上さんとの縁は、今もなお、繋がっていると?」 「私はそう、信じております」  真っ直ぐ、迷いなく言い切る弥生に静宮はゆっくりと瞼を閉じた。 「……私が春風さんの言葉を疑うことなど、ありはしませぬ」

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