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第635話 ※
雪也を殺そうとする雄叫びが、刀を弾く甲高い音が周の耳に聞こえる。どうしてこうなったのか、何が悪かったのか、ぼやけた頭で考えてもわからない。
(いや、違う)
雪也も、自分たちも、弥生達もまた、何も悪い事などしていない。ただ人々の幸せを願い、できることをして、平凡な日々を過ごしていただけだ。ただ時代が急速に動き、その動きをほんの少しだけ緩く見ていただけ。それを罪だというのなら、いったい何が罪でないというのか。
(雪也……)
ごめんね。心優しいあなたに、こんな姿を見せてしまうなんて。きっとあなたは悲しむのだろう。それが悲しく、耐えがたい。
(ゆきや……)
こんなに恐ろしい時代でなければ、もっと違う未来があっただろうか。何に怯えることなく、ただ笑って、笑って――。
(ゆき、や……、もしも……)
もしも次に生まれることができるのなら、ただひたすらにあなたを愛することができる時代でありたい。穏やかな日々の中、あなたの隣で、穏やかに微笑むあなたに、ただ、ひたすらに、あなたが、どうか、いつか――、
「……ゃ」
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