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第717話
領主と近臣が一堂に会す。その知らせを受けて浩二郎は仲間と共に衛府の城に忍び込んだ。衛府はすでに混乱に呑まれて体制は崩れており、何より手引きしてくれる者もいて容易く侵入することができる。将軍と春風当主、そして近臣と領主が揃うその部屋の天井に身を顰め、耳をすませた。
今日ここで、すべてが決まる。少なくとも浩二郎の仲間たちは皆がそう思い、覚悟を決めてきた。
将軍が近臣を抑えることができるのか、領主らに何を言うのか。春風は国にとって敵か、味方か。それを見極めなければならない。そしてもはやどうしようもないと判断すれば、すぐさま浩二郎たちが天上から飛び降りて将軍や春風当主の息の根を止める。失敗せぬようにと城には仲間を多く連れて来た。もし浩二郎たちが討ち取られたとしても天井以外に身を顰め、あるいは警護の者に成りすましている仲間たちがいる。武衛にある近臣の屋敷にも仲間を置いてきた。合図を送れば彼らは一斉に近臣の屋敷に火を放ち、近臣が所蔵している武器火薬などはすべて塵と化す手筈となっている。
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