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第738話
片手で器用に女の身体を弄りながら次々と杯を乾す松中に、部屋の中にいた女たちもまた身体を寄せ、あるいは新しい酒を注ぎ、淫ら事を思わせるように指を這わせる。
松中はいつだって奉仕させるのが好きだ。女を侍らせ、時に男を呼んでは肉棒を咥えさせ、酒はあるだけ自らが飲み干す。誰かに、それも己に仕える者達になど余計に与えることをしない。だからこの夜も松中以外の誰も酒に口をつけないといういつも通りの光景に、当然のことながら疑問を抱くことはなかった。
「旦那様、もう私の胸に興味はございませんの?」
しな垂れかかる女が松中の手を優しくとり、己の胸へ導く。だが松中の腕は力が入らず、ドサッと女の膝の上に落ちた。
「おぉ、私としたことが。ちと飲み過ぎたか?」
まぁ、今は蟄居の身だから何も問題は無いだろう。そんな風に特別困った様子も見せず松中は赤ら顔で笑う。その様子にあらあら、と小さく笑って、女は松中の耳元に唇を寄せ、そっと呟いた。
「旦那様。旦那様に、お客様がいらしてますわ」
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