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第741話 ※
「ま、まてッッ!」
鋭い刃を見てヒッ、と悲鳴をあげた松中は動かぬ腕を必死に前に突き出した。当然、そんなもので青年の動きが止まるわけもなく、一歩、一歩と近づいてくる。
「な、何が目的だッ。金か? 金ならいくらでも用意するッ、これ以上春風に手も出さんッ、だ、だから待ってくれ!」
顔を恐怖でグチャグチャにし、失禁さえもした松中は必死に考えつく言葉を並べ立てるが、それに対して青年も女たちも表情ひとつ変えない。ゆっくりとした足取りで近づいてきた青年は、松中のすぐ側でようやく足を止める。視線を合わせるように膝をついた。
「金で命が蘇れば良かったのにな。そうすれば、もしかしたら俺はお前を許してやることもできたかもしれない。けど、どんだけ金を積もうと、誰も戻ってこない。蒼も、由弦も、周も雪也も、誰も」
だから――。
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