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第774話

「我々は決してあなたを侮ってなどいない。そのような誤解はやめてほしい」  本気であなたを尊び、報われてほしいと思っていると浩二郎は必死になって告げた。そんな浩二郎に弥生は視線を向ける。ジッと、瞬きさえもせずに。 「では、私は何のために走ったと思う? 今ここにいる私は、報われたのか?」  紫呉に後ろを託し、ひたすらに走った。信じて、ただ信じて。 「答えられないか? では質問を変えよう。私はお前たちに聞きたいことがあった」  どれほど考えようと、未だ理解することのできない問いを。 「雪也が助けたその身で、雪也たちの身体に刃を突き立てたその身で、あの子達のいない庵の前に立つ気分はどうだ」  そしてその口で弥生に報われてほしいなどと言う気分はどうだ。  淡々と現実を突きつける弥生の言葉に、浩二郎が、後ろにいた幾人かの男達がハッと目を見開く。

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