806 / 981

第801話

「ずっと、そばにいたの? やよい」  声は掠れているが、クツリ、クツリと楽しそうに笑う優に弥生も視線を向ける。熱を確かめるために額に触れ、首筋に触れれば、やはり優はクツクツと笑った。どうやら今日は調子が良いらしい。 「嬉しいと言ってもらえると期待していたというのに」  ツン、と拗ねるようなことを口にする弥生だが、その顔は笑みに彩られていてちっとも説得力がない。優もクツリクツリと笑うことを止めないままに、ごめんごめん、と軽く謝った。 「うれしいに、きまってるよ。だって僕は、弥生のそばにいることが、だいすきなんだから」  目覚めてすぐにあなたの顔を見ることができる。それのなんと幸福なことか。それに、勝手な願いだったというのに、サクラが律儀に守ってくれている姿を見ることもできた。それを嬉しいといわず、何というのだろう。

ともだちにシェアしよう!