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第808話
「ゆう……、わたしは……」
何かを耐えるように、弥生の眉間に皺が寄る。小さな子供のように震える姿が可哀想で、優は椀を床に置くと弥生の手を引きながら布団に身体を横たえた。されるがまま、同じように横たわった弥生の身体を抱きしめる。ゆっくり、ゆっくりとその髪を撫でた。
「弥生が、どう思おうと、弥生の行ってきたことは、僕が知っている。ぜんぶ、僕は知っている。だから僕が、弥生を認めるよ。弥生を褒めるよ。すごいことを成し遂げたんだって、君は誰よりも優しくて、勇敢で、素晴らしいんだって。なんにも、間違えてなんかないよ。差し伸べた手も、過ごした温かな日々も、走った夜も、声の限りに訴えた言葉も、何一つ、君は間違ってなんかない」
僕はぜんぶ、知っているから。
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