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第818話

「いいじゃん、一緒にお茶でもしようよ。サークルのこと、もっと説明したいし」  頷いてくれるまで離さないと言わんばかりの男に、新入生は小さく首を横に振る。小さなため息が零れた瞬間、男の腕が横から掴まれた。 「私たちの友人に何か用か?」  雑音のなか響いた声に、男も新入生も一斉に振り返る。腕を掴む弥生の姿に、男の笑みが引きつった。 「は、春風? 友人って……」 「弥生だけじゃねぇよ。俺たちにとっても友人だ」 「むしろ友人というより、弟みたいなものだね」  血の繋がりはないけど、と弥生の言葉に続けるようにして聞こえた二つの声に、男はますます顔を引きつらせる。どうやら弥生は男のことを知らないが、男は弥生たちのことを知っているようだ。

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