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第2話
朝を告げる目覚まし時計がけたたましく室内に鳴り響く。ベッドで大の字になりながら眠っていた男はその音から逃げるように布団にくるまって芋虫状態になり目を閉じていたが、そんなものでどうにかできるほどの音量ではない目覚まし時計に眉を寄せ、いっそ壊す勢いで伸ばした手を時計に叩き落した。ピッタリと静まった時計に再び目を閉じるが、さすがに起きなければならないことは理解している。しかしどうにも布団が気持ちよくて、あと十秒、あと十秒と胸の内で呟いていた。
(い――――ち、にぃ――――い、さぁ――――)
最後の悪あがきのように、妙に間延びした調子で数える。しかしどれほど足掻いても所詮は十秒。すぐに終わりはやって来て、仕方がないと諦めてノソノソ起き上がった男は大きく伸びをしながら欠伸を零した。
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