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第3話
寝起きでボサボサの髪を無意味に弄りながらリビングへと向かう。まだ同居人の誰も起きておらず静まり返ったそこを通り過ぎ、広めに場所を取っている洗面所に入って慣れた手つきで洗剤を入れ洗濯機を回した後に、ボンヤリと鏡を見ながら歯を磨き、髪を手櫛でそれなりに整える。その頃にはなんとなく目は覚めてきていて、男は部屋に戻って着替えると、家の鍵を持って外へと向かった。
朝とはいえ、外はまだほんの少し薄暗い。そんな中を男は軽快な足取りで走る。もはや身体を鍛える必要もなく、何かしらのスポーツをしているわけでもないが、どうしてもこうして身体を動かす習慣は無くならない。やらなければ身体がムズムズして気持ち悪いとでも言おうか。そんな感情に突き動かされるがままに動かし続けた身体は、惚れ惚れするほど美しい筋肉がついていた。
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