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第6話
「なるほどな。んじゃ、俺はシャワーを浴びてくる。お前らは昼から学校だろ? それまで弥生の横でお前も寝てろよ」
言えばまた、クスクスと小さな笑い声が聞こえる。機嫌のよさそうなそれを背に、紫呉は浴室へと向かった。
ザッと汗を流して、ついでにガシガシと髪を洗う。タイルに打ち付ける水音を聞きながら、紫呉は時折おとずれる感覚を覚えて、ゆっくりと瞼を閉じた。
不思議な縁だ。そう、今まで何度繰り返したかわからない言葉を胸の内で呟く。
紫呉、弥生、優。小学生の頃よりずっと一緒の、いわゆる幼馴染の関係にある三人は、実のところそれ以上前からの古い友人だった。
ずっと、ずっと昔。まだ車もスマートフォンもない、教科書に歴史として載っているような、そんな時代に生きた記憶が物心ついた時から三人にはあった。
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