831 / 981
第7話
弥生が主で、優と紫呉は臣下。けれどそんな立場など関係なしに、あの頃も三人は幼馴染で、かけがえのない友人で、弥生と優に至っては恋人同士だった。彼らと生きた日々は穏やかで、優しくて、けれど最後の方は常に緊張に満ちていた。人である自分を守るためなのか、あの時代に生きた己の最期がどういうものであったかはおぼろげで、詳しくは思い出せない。ただ大勢と戦っていたというのは何となくわかるから、きっとそこで死んだのだろう。それに対して悲しいと思うことも、恐ろしいと思うことも、不思議となかった。それはもしかしたら、この平和な世界で彼らともう一度出会うことができたからかもしれない。
あの時、弥生達と夢見た世界。平和で、誰も明日を脅かされることなく、明日を当たり前のように信じられる世界。それが目の前に広がっていて、それを理解した時にはらしくもなく泣きそうになったのを覚えている。
ともだちにシェアしよう!

