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第29話
(ま、でも弥生先輩は片方に肩入れしたり入れ知恵するタイプじゃないか)
もし弥生が入れ知恵していたら、とっくに紫呉は雪也と付き合っていただろう。何故かはよくわからないけれど、弥生はやたらと同級生やら後輩やらから恋愛相談されることが多く、それもかなりの成就率だという。何より紫呉の事をよく理解し、雪也のことも可愛がっている彼の事だ、きっと適格なアドバイスの元に最短でカップルにしてしまうに違いない。今現在がそうでないなら、弥生は口を挟むつもりはないし、弥生が動かないのであれば優も動かないだろうことは流石の由弦でもわかる。
(でも待てよ、そうなると紫呉先輩が不利じゃね?)
由弦が言うのもなんだが、紫呉は策を弄する性格ではない。それにどうしたって学年も違えば、家だって完全二世帯住宅だから違うといえば違うのだ。現に先輩組とは毎日一緒に朝食や夕食を食べているわけではないし、昼食だって時間が合えばという程度のものだ。周と比べればどうしたって一緒にいる時間が少ない。なのに紫呉は作戦を立てるようなこともなければ雪也を口説くようなこともしていない。
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