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第37話

「単なる私の勘だが」  由弦のことで頭がいっぱいな紫呉にそう前置きした弥生は、優雅に紅茶をひと口含んだ。紫呉と優の視線が向けられ、カチャリと小さく陶器が鳴る。 「お前を除けば、雪也と周に何かあるのではないか? 私が見るかぎり、湊や蒼と居る時の由弦はいつも通りだ。昔のように天真爛漫で、特に何かを抱えたり考え込んだりしているようには見えない。だが、お前と雪也、お前と周、あるいは三人揃って、もっと言えばお前を除いて雪也と周が一緒にいる時、どうにも由弦は何かを考え込んだりしているな。騒がしいというか、落ち着きがないというか」  常の賑やかさとは違う、どこかぎこちなくて、慌てているような騒がしさ。 「もしかして、雪也と周がくっついたか?」

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