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第41話
「紫呉、記憶が無い以上、前世がすべてなどとは言えないがな。それでも魂が同じであるなら、その本質は変わらんだろう。あの日の由弦と、今の由弦は確かに違うのかもしれない。だが、何もかもが全く違うということもないはず。ならば、由弦のことをお前は一番よく知っているはずではないのか?」
いつだって一緒にいた。過ごした時間は雪也達の方が長かったかもしれないが、由弦を思っていたという点に関しては、誰にも負けてなどいないと自負している。そのことを思い出せと弥生は言うのだ。
クスリと、自嘲するような吐息が零れ落ちる。
「なんで皆がお前に恋愛相談しにくるのか、なんとなくわかった気がする」
「いい迷惑だけどね」
先程まで笑いを零すだけであまり会話に参加していなかった優が紫呉の言葉をスパン! と斬る。そのあまりの切れ味に紫呉は苦笑を零すが、優はただ優しそうな笑みを浮かべていた。
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