866 / 981
第42話
紫呉が弥生達にお悩み相談をしている時、当然ながらそんなことを知りもしない由弦は自室で教科書とノートを広げながらウンウンと唸っていた。より正確にいうなら、教科書の内容などまったく頭に入っていないので、勉強で唸っているわけではないが。
「どう見ても先輩が不利なんだよなぁ。雪也の鈍感が良いのか悪いのか」
ここ数日の雪也と周、雪也と紫呉の様子を思い出して、由弦はうわぁぁぁ! と叫びながらガシガシと頭を掻く。
「だいたい先輩がさり気なさすぎるんだよ! こっちはわかるけど、雪也にはわかんねぇって! サクラもそう思うだろ!?」
あれでは雪也にその想いを気づいてもらえないではないかと由弦は唸るが、突然同意を求められたサクラはただただ欠伸を零すばかりだ。その様子で自分の言っていることがいかにズレているかを悟ってほしいサクラであったが、残念ながら思い込みの激しい由弦には通じなかった。
ともだちにシェアしよう!

